河野甲さんと行く!哲学の道~若王子倶楽部左右~法然院

2014年11月11日 21:32
【獣貝草虫の博物誌~河野甲 革造形の世界~】
10日から法然院会場の展示もはじまりました。
若王子倶楽部・左右会場と、法然院・南書院会場をつなぐいきものマップができました。 
若王子倶楽部左右の庭にはいろんなマイマイ、女郎蜘蛛やヤモリ。
そして樹齢250年を超える木々に囲まれ、梟やムササビ、イタチや猿、猪など多くのいきものが暮らす法然院。
左右と法然院をつなぐ哲学の道をいきものたちを探しながら散策してみてください。
 
河野 甲 / kono ko
1956年 愛媛県宇和島市生まれ
1977年 京都嵯峨短期大学 洋画科卒業
皮革造形家 石丸雅道に師事
1984年 京都にて造形作家として独立
1991年 奈良県に移住
1995年 3Dイラストレーターズアワード銅賞
2000年 京都府に移住
2007年 大阪ライフスタイルコレクション
メインビジュアル担当
2009年 日本パッケージデザイン大賞銀賞
 
近所の神社で育まれた、異次元への憧憬
 
京都・加茂町にある河野甲さんの自宅は、昆虫など、さまざまなミニチュアで一杯。まるで博物館のようだ。これらのすべてが、河野さんの創作の原点になっていると思うと、よりその存在の大きさを感じる。
 
「独創的にものづくりをする前に、まず見ること、観察することが大事だと思っています」と河野さんはいう。現在、皮革を用いた作品を制作するが、かつては「油絵をやりたかった」そうだ。叔父の石丸雅道さんが皮を使ってゴリラなどの哺乳類の立体をつくっていたこともあり、同じように皮を使って、何か面白いことができないか、飯の種になれば、との想いから、創作の道に入った。
 
昆虫を作品の題材にしたのは、人間とかけ離れた姿形をしている、手の中で遊べる、構造がメカニックである、そして表情がないことなど面白みが多いからだ。造形上もデザイン的にも完成度が高い。つまり、昆虫は、ずっと「飽きない」モチーフなのだ。
 
雑虫のゴミムシダマシはアールデコ調。古い民家に住むヤマトオサムシダマシは、同じ家にずっと住み続けることから、「いわば、戸籍を持った虫ですね」と河野さんはいう。一般にあまり知られていないが、このように物語のある昆虫も多い。日本は島国だから、固有の生物が豊かな国だ。多くの日本人が小さい頃、近所の神社で遊んだ経験があるだろう。少年時代の河野さんも、薄暗い神社の中で埃をかぶった白い馬や閻魔さまなど、異次元空間のものたちに心を奪われ、我を忘れる瞬間に感動したひとりだった。そして虫捕りもそんな神社での楽しみのひとつ。
 
 京都・加茂町にある河野甲さんの自宅は、昆虫など、さまざまなミニチュアで一杯。まるで博物館のようだ。これらのすべてが、河野さんの創作の原点になっていると思うと、よりその存在の大きさを感じる。
 
最近のアートはメージ優先だが、河野さんの制作はあくまで写実的。細部をよく見て、自然に湧き出てくる個性を大切にするのだ。今はカタツムリをモチーフにした作品づくりを進めているという。
 
 「カタツムリはシンメトリックな甲虫と対照的で、自由自在にフォルムが変化します。移動能力が低いので地域ごとに異なった種が存在する。また貝殻も魅惑的で、胎殻という生まれたときの小さな殻を中心に、成長の時間を少しづつ重ねながら螺旋を形作っています。つまり過去から現在への時間の流れがビジュアル化されているわけですね。カタツムリの螺旋は循環のシンボルだと思っています。」河野さんの博物館は、まだまだその規模を拡大していきそうだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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